ポルトガル周遊記1
ポルトガルでお菓子作りに励んでいる一人の日本人女性のことが新聞で紹介されていました。そして、そのお家の一部屋に滞在できるとも書いてありました。なんだか無性にポルトガルに行ってみたくなり、さっそくFAXで問いあわせて、5日間お世話になることに決定しました。気に入ったところに長くいたり、小さな国だからぐるっと一周りするのもいいかなと思ったので航空券は1ヶ月間有効のものにしました。とくに予定を決めずに、たくさん歩いて、たくさんの人間や風景を見たいなと胸をふくらませながら初めてのヨーロッパに旅立ちました。
ポルトガル菓子がずらり
旦那さんのパウロもお菓子職人なので、5日間の食事とデザートは本当においしかったです。息子のジョニーと一緒にお手伝いして、タラのコロッケや魚介類のリゾットなどポルトガル料理やお菓子の作り方も教えてもらいました。生クリームやチョコレートたっぷりが苦手な私にとってポルトガル菓子はかなり好みでした。卵と小麦粉と砂糖がベースになった素朴な焼き菓子が多いのです。
旅行というよりも、なんだか、親戚のうちに泊まっているような感覚でした。それくらい親しみやすかったです。ある日はパウロ一家にくっついてドライブがてら大きな民芸品市へ出かけました。
なんだかメキシカンぽくない?
着いてそうそう私の胸はそわそわしました。南欧独特の雑貨やめずらしい民芸品、そして目移りするくらいおいしそうな屋台がぎっしりと並んでいるのです。旅ははじまったばかりなので買いたい衝動をおさえつつ、どぉ~しても欲しかった木製の小箱だけ買いました。 おじさんたちが音楽を奏でて雰囲気もばっちりでした。
ランチには「中世ヨーロッパの食事」を試すことになりました。当時の衣装を着たお姉さんがかわいらしく応対してくれます。かたい田舎パンにクリームチーズ、くるみ、サーモン、生ハム、マッシュルームをのせたものに濃厚なポルトガルワインがとってもよくあいます。コロッケもほくほくでした。はたして、こんな食事を中世の人たちが食べていたのかどうか。
夜、ベットにもぐりこんで宿帳を読んでいると、書き込んでいたほとんどの人がこの家族のことをほめていました。家族がひとつの単位となって、これだけの喜びを与えられる魅力ってすごいと思いました。そして、宿泊者たちそれぞれがいろんな思いを抱いてポルトガルを訪れた様子が克明に記されてありました。たった一文だけでその人のすべてを表していたり、さまざまな胸の内をつづった文字たち。読み進めるうちに、なんともいえないはがゆさを感じました。もっと自分を出したい、そんな思いがどんどんあふれてきます。強烈な家族の個性を見たからかもしれません。「自分は、自分は」と押し出すのではなく、でもにじみ出てくるような私、がいない。自分自身が確立できていなと認めざるをえませんでした。
発見のモニュメント
翌日、市電に乗ってべレンへ向かいました。青が素晴らしかった。空の青と、海の青がひたすら美しかったです。発見のモニュメントや博物館などをみてまわり、午後からはジェロニモス修道院を訪れました。
ジェロニモス修道院
しばしの間、ただただ、あの大きさと、装飾、そしてその古さゆえに感じられる時間の重みにひたりました。それから、有名な老舗カフェ「べレン」で名物のお菓子とともにティータイムを過ごしました。